要望書・請願書・質問書

オキサリプラチンの優先審査を求める要望書(2004/01/27)

平成16年1月27日

厚生労働大臣
坂口 力 殿

『癌と共に生きる会』
会 長  佐藤 均
事務局長  笠松久美子

平素は医療行政並びに健康・福祉行政にご尽力いただき有難うございます。
さて、がんと闘う私共の会員の中には、諸外国の「優秀な薬」が日本では承認されていないため、仕方なく外国から輸入し治療を受けている者がいますが、保険が使えないために、治療費が月額100万円を超えるという重い負担を強いられております。 参考資料(1)
こうした窮状の改善を、当会の当時の会長が2002年4月24日、坂口力厚生労働大臣に訴えると坂口大臣は、「(諸外国の)優秀な薬につきましては、とにかく半年以内に導入を行う」と約束して下さいました。 参考資料(2)
そこで、私共が待ち望んでいた大腸がん治療薬「オキサリプラチン」の日本での第Ⅱ相臨床試験が終わったとの情報を得ましたので、下記のお願いをさせていただきます。

大腸がんの治療薬「オキサリプラチン(OXALIPLATIN)」が申請された際、以下の理由から、「優先審査」扱いにし、大臣が私共に約束して下さったように、「半年以内に承認」して頂きたい。

理由1. オキサリプラチンは、欧州では8年前、米国では一昨年認可され既に使われている実績がある。米国では、46日間の優先審査で承認された。 参考資料(3)
また、オキサリプラチンは、日本人によって合成された新規化合物であり、海外55ヶ国で既に販売されているにもかかわらず、日本では未だに承認されていない。ちなみにアジアで使えないのは、日本とモンゴルと北朝鮮の3国のみである。

理由2. 米国国立がん研究所(NCI)の最新がん情報で、オキサリプラチンは、「単独または5-FUとロイコボリンとの併用により、転移性結腸癌において、前治療の有る患者、無い患者、および5-FU療法抵抗性の患者で有望な薬理活性が示されている」とされている。 参考資料(4) また、直腸癌においてもオキサリプラチンは、「期待できる活性が示されている」とされている。 参考資料(5) また世界的内科テキストである「カレント・メディカル診断と治療 2003」でも、オキサリプラチンは、結腸がんの「現在の治療法選択肢」とされている。 参考資料(6)

理由3. オキサリプラチンは、国内において第Ⅰ相および第Ⅱ相臨床試験が既に終了している。第Ⅱ相の結果、フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬に治療抵抗性を示した進行・再発結腸・直腸癌に対して、「オキサリプラチンの投与により疾患進行の抑制が期待でき、忍容性も良好であることが示された」 参考資料(7):「癌と化学療法」 VOL.25(1998) 『Oxaliplatinの第Ⅰ相臨床試験』、参考資料(8):第41回日本癌治療学会総会口演OS130-4 「新規抗癌剤」『フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬に治療抵抗性を示した進行・再発結腸・直腸癌に対するOxaliplatin(L-OHP)の第Ⅱ相臨床試験』

理由4. 平成14年度に大腸がんで亡くなった日本人の死亡者数は、3万7,000名を越え、がんでの死亡者数では、肺がん、胃がんに次いで3番目に多く、また大腸がんで亡くなる患者数は、年々右肩上がりに増加している。 参考資料(9)(10)

理由5. 貴省が優勢審査制度で、「その他医療上特に必要性が高いと認められるもの」として「適応疾病が重篤であると認められること」としており、優先審査に指定された品目の多くは、抗悪性腫瘍薬などである。 参考資料(11):厚生労働省「優先審査制度等に関する検討会中間報告書(案)」『優先審査品目及び優先的な治験相談品目選定の考え方について』平成15年12月3日

以上の理由から、要望の緊急性および重要性を是非ご理解の上、ご配慮をよろしくお願い致します。

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