要望書・請願書・質問書

臨床腫瘍医の育成に関する要望書(2004/05/23)

文部科学大臣
河村 建夫 殿

平成16年5月23日
癌と共に生きる会
会長 佐藤 均

臨床腫瘍医の育成に関する要望書

日頃から我が国の教育、文化の発展と向上の為に御尽力頂き、心から感謝申し上げます。
さて、国民の最大の関心事である自分と家族の健康を守るという事に目を向けますと癌は昭和56年以来死亡原因の第一位、今や二人に一人が癌になるといわれ、高齢化社会の進行に伴い、その数はますます増加の傾向にあります。その為、癌の予防や治療法の向上が強く求められています。
日本の癌医療は、手術においては世界のトップレベルといわれる一方、抗癌剤治療を必要としている何十万人もの進行癌患者は安心して治療を受けられる場を見つけることが出来ず途方に暮れ、癌難民となっております。放射線治療、抗癌剤治療に長けた医師の育成が急がれるところです。
諸外国に比べ大幅に遅れていた抗癌剤の承認及び併用療法に関しても、今年に入って検討会が開始され大変喜ばしく思っておりますが、医療に最も求められるものは、これを行う「人」であります。様々な治療法がある中、医師と患者が話し合うことで、その人個人に一番良い医療をアドバイスし、全身管理が出来なければ成りません。
しかし、現在、医学教育の場では腫瘍医学の取得すべき項目が臓器横断的で従来の講座制にそぐわない為、学生が「臨床腫瘍学」と向き合う事はほとんどありません。また、癌の生物学的知識から抗癌剤の使い方、高度先進医療(放射線療法他)を含んで、全身管理をトータルに豊富に教育するシステムが欠如しており、卒前・卒後を結ぶ一貫した臨床腫瘍医教育システムがありません。
臨床腫瘍学は、医学の総合性と社会性を広く教育できる場として現代医療の中で最も重要な分野であります。
以上申し上げたことから、次について要望致しますので、宜しくお取り計らい下さいますよう御願い申し上げます。

(1) 全国の大学の医学部に「臨床腫瘍学」の講座を設け、現代医療における一分野として系統的な教育を行う。(進行癌患者への化学療法、放射線療法等に長じた医師の育成を図るため)

(2) 大学医学部卒業後の医師国家試験に、抗癌剤の使い方等を含む「臨床腫瘍学」としての出題を盛り込む。

(3) 研修医は臨床腫瘍学、もしくは緩和ケアアプローチを学ぶ事。

(4) 文部科学省、厚生労働省の連携のもと、大学医学部に付属の癌センターを設立し、卒前卒後の一貫した教育システムをつくる。

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