要望書・請願書・質問書

抗癌薬および副作用防止薬に関する緊急措置請求書(2001/02/27)

「癌と共に生きる会」は、2001年2月27日、福島啓氏弁護士を代理人として、下記請求書を厚生労働大臣宛に、内容証明郵便にて送付し、記者会見を開きました。この取り組みは、朝日新聞3月4日(日)朝刊に大きく取り上げられました。

抗癌薬および副作用防止薬に関する緊急措置請求書

前略 当職らは「癌と共に生きる会」(以下「生きる会」という。代表新山義昭、広島県)から委任を受けた同会の代理人でありますが、貴殿に対し、次のとおり緊急措置請求を致します。
貴厚生労働省(以下「貴省」という)は、病気等に苦しむ国民の生命を守るという貴省の基本的義務並びに人命を救助するという人道的責務から、本緊急措置請求を受け入れ、直ちに適切な措置をとられるよう、強く請求するものであります。

一  請求している措置の概要
抗癌薬および副作用防止薬のうち、現在、欧米先進各国で標準的に使用されている薬剤を我が国においても標準 的に使用できるようにすること。即ち保険適応でこれら薬剤を使用することができるよ うにすること。
尚、貴省に対し、本件問題について京都大学大学院 医学研究科の福島雅典教授他ニ名より、既に同様の実施要望書が提出されていることと思います。同要望書添付の薬剤に関するリスト記載の薬剤が、正に本件で 措置請求している薬剤であります。「生きる会」は、同リストを入手しておりますので、ご要請があればいつでも御郵送致します。

二  「生きる会」は、現在四〇人で構成され、そのほとんどは末期癌との診断を受けている者です。
「生きる会」のメンバーは、癌に冒され明日をも知れぬ状態で毎日の治療を受けておりますが、メンバーはいずれも、通常の保険診療では欧米先進国の標準的レベルの治療を受けることができない状 態におかれております。
欧米先進国では、抗癌薬による癌の内科的治療は、著しい進歩を遂げ、かつては手の打ちようがなかったものも一部に治癒が得られるようになり、ほとんどの癌患者においては治癒は得られないまでも、延命ないし症状の緩和が得られるようになったと言われています。
しかしながら、我が国の癌患者は、(貴殿が万一、癌患者になられた場合も含めて)欧米先進各国で標準的にその使用が認められている薬剤を相当部分使用することができない状態にあります。
それは、現在欧米先進各国で標準的に使用されている抗癌薬及び副作用防止薬の一部が、我が国では未承認又は、承認されていても保険適応外になっているためです。
このことは、現に癌と闘っている患者やその家族にとって極めて深刻な問題となっています。
国際的な標準医学テキスト(メルクマニュアルやカ レント・メディカル・ダイアグノシスアンドトリートメント等)に選択薬等としてそれを使用すべきことが掲載されている薬剤を使用できないという現状をこの まま放置することは、国即ち、貴省が癌患者を不作為により死に至らしめ、生命を短縮させ、あるいは肉体的精神的に苦痛を与えていることであり、まさに違法 行為そのものです。
貴省は、この違法な状態を直ちに解消すべき重大な責任(義務)を負っているものと思われます。
貴省は、直ちに、総力をあげて、右違法状態を解消し、我が国の癌患者全ての者が欧米先進各国における標準的レベルの治療を受けることができるようにすべきであります。
「生きる会」のメンバーだけでなく、我が国の全ての癌患者は、一刻も早く世界的レベルの治療を受けることができるようになることを切望しております。
貴殿におかれましては、本件における重大な決断をされ、かつ強力な指導力を発揮され、全国の癌患者に大きな光明をもたらしていただけるようお願いする次第であります。
最後に、本内容証明郵便が貴殿に到着後、一四日以内に当代理人に対して文書により誠意ある回答をされたくお願い致します。
万一、右期限内に文書による誠意ある回答がなされない場合は、「生きる会」は民事、刑事を問わず法的手段に訴える強い決意を有していることを念のため申し添えます。

平成一三年ニ月ニ七日

「癌と共に生きる会」代理人
弁護士 福島啓氏

東京都千代田区霞が関一丁目ニ番地二号
厚生労働省内
厚生労働大臣 坂口 力 殿

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