要望書・請願書・質問書

「抗癌薬の早期適応拡大を求める要請書」趣旨

「抗癌薬の早期適応拡大を求める要請書」趣旨

1990年代に入り、欧米では次々と新しい画期的な抗がん剤が開発され、がんの薬による治療は急速に発展し、これまで治療が困難であったがんにおいても、一部には治癒が得られ、またほとんどのがんで延命または症状のコントロールが可能になりました。

欧米では、数多くの臨床試験の結果に基づき、こうした抗がん剤を評価し、科学的根拠が十分にあり、使用を推奨する標準治療薬を選定し、米国国立がん研究所のホームページや世界的医学テキストなどで一般に公開しており、誰でも知ることができるようになっております。

しかしながら日本では、こうした欧米の標準治療薬の内、保険診療で使用できない薬剤があまりに多く、日本のがん患者は本来享受するはずの世界の医学の進歩から取り残されております。このような現状を改善しようと、癌と共に生きる会は、以下の活動を行って参りました。

  • 2001年2月27日 坂口力厚生労働大臣宛に「抗癌薬および副作用防止薬に関する緊急措置請求書」を送付。
  • 2001年5月31日 「抗癌薬および副作用防止薬の早期一括承認を求める要請書」に5万筆以上の署名を集め、桝屋敬悟厚生労働副大臣(当時)に提出。
  • 2001年10月13日 癌治療薬早期認可を求める会と連名で、坂口力厚生労働大臣に、「癌治療薬の使用に関する要望」を送付。
  • 2002年4月24日 当会が所属する日本がん患者団体協議会(JCPC)が、坂口力厚生労働大臣と面会、「EBMに基づく癌治療を可能にするための要請書」を提出。

厚生労働省は上記の要請などに対する回答として、「ご指摘のとおり、欧米諸国で既に承認されている抗癌剤が我が国では未申請であったり、申請された効能が一部であったために、承認内容も一部に限られているものもあります」と欧米の標準治療薬が日本で使えない現状を認めながらも、製薬会社から申請がないことを理由にその状態を放置してきました。

しかし、その一方で厚生労働省は、厚生労働白書平成13年版の中で、「EBMの推進」(175頁)と題して、「厚生労働省としても積極的にEBMを推進することとしており」「学会が最新の治療法を集積した診療ガイドラインを」「いち早く臨床の現場で利用できるよう」にすべきと、EBM(科学的根拠に基づく医療)の推進をうたっており、その主張には明らかに矛盾がございます。

そこで、癌と共に生きる会は、欧米でがん治療に使われている標準治療薬の早期一括承認を求めてきた2001年度の方針をより現実化するために、厚生労働省が日本癌治療学会等に委託して作成させた「抗がん剤適正使用のためのガイドライン(案)」の中で、科学的根拠が十分あり、専門家が使うべきと推奨した薬剤の内、日本で未承認または保険適応外である薬の早期保険適応を最低限の要求として、2002年度は求めていくことに致しました。

また、欧米で新たに承認された抗がん剤がいち早く日本でも承認され使えるようにするために、このガイドラインを毎年見直していく機関の設置も併せて要求していきます。

皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。

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